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崖条例とは? 規制の内容や擁壁・工事費用の目安、購入前のチェックリストを解説

投稿日:2025年12月15日

最終更新日:2025年12月15日

崖条例とは? 規制の内容や擁壁・工事費用の目安、購入前のチェックリストを解説

不動産情報などで、傾斜地や崖に面した土地を検討する際、「崖条例」という言葉を目にしたことはありませんか。

崖条例とは、がけ崩れから建物を守るため、各自治体が定める建築制限のルールです。
この条例は、安全な住環境を守るためにありますが、適切な対策を講じれば家を建てることは可能です。

今回のコラムでは、「崖条例とは」という基本の定義や基準から、具体的な制限、規制をクリアする方法を解説します。さらに、必要な費用の目安と、購入前に必ず確認すべきチェックリストをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!

  • 崖条例とは

    崖条例とは

    崖条例の定義と基準

    崖条例(がけじょうれい)とは、がけ崩れや土砂災害から人命や建物を守ることを目的に、各自治体が独自に定めている建築制限に関する条例です。
    不動産や建築の分野において、一般的に「崖」と見なされ、条例の規制対象となる可能性が高いのは、以下の基準を超える傾斜地です。


    ■高さ:2メートル以上
    ■傾斜:30度を超える


    POINT!

    高さ2m以上、傾斜30度超」というのはあくまで一般的な例です。 崖条例は、各都道府県や市町村などの自治体によって基準が異なり、高さが3メートルと設定されている地域や、その他の地質や敷地条件が考慮される場合もあります。そのため、全国一律の基準ではない点に注意が必要です。



    崖条例の目的

    崖条例が各自治体で定められている最大の目的は、がけ崩れや土砂災害による被害から、人命と財産を守ることです。大雨や地震などで土砂崩れが発生するリスクのある崖地に面した土地に対し、無計画な建築を制限し、安全性を確保するためのルールを設けています。これにより、建物の損壊を防ぎ、住民が安心して生活できる環境を保っています。



    崖条例の建築制限内容

    崖条例の規制内容は自治体によって異なりますが、一般的に「がけ」の上と下、それぞれに対して以下のような制限が設けられています。


    ①崖の上に建物を建てる場合の制限

    崖の上にある敷地に建物を建てる場合、建築予定の建物が崖崩れの影響を受けないよう、崖の下端からその崖の高さの1.5倍〜2倍以上離れた位置に建物を建てるよう義務付けられます。

    例:崖の高さが4mの場合、崖の下端から6m〜8m以上離す必要がある。



    ② 崖の下に建物を建てる場合の制限

    崖の下にある敷地に建物を建てる場合、崖崩れが発生した際に、土砂が建物に到達することを防ぐために、崖の上端からその崖の高さの1.5倍〜2倍以上離れた位置に建物を建てる必要があります。

    例:崖の高さが4mの場合、崖の上端から6m〜8m以上離す必要がある。



    崖条例をクリアして家を建てる3つの方法

    崖条例による建築制限がある土地であっても、適切な安全対策を講じることで、多くの場合、建物を建築することが可能です。その主な対策として、以下の3つの方法が挙げられます。



    ①崖から離れて建てる

    これは最も基本的な解決策であり、崖崩れの影響が及ばないよう、建物と崖との間に条例で定められた十分な距離を設ける方法です。上記でも述べたように、一般的には、崖の高さの1.5倍から2倍以上の距離を確保する必要があり、土地の広さに余裕がある場合に有効な手段となります。



    ②建物や基礎を強化する

    これは建物や基礎を強化し、安全性を証明する方法です。敷地の形状や広さの都合で崖から十分な距離を確保できない場合に選択される方法で、崖崩れや地盤の変形による影響を受けにくいよう、強固な基礎構造を採用したり、土砂や落石に耐えられるように建物の壁や構造に耐圧設計を施したりします。この方法が採用されるには、建築士や地盤の専門家による詳細な構造計算が必要となり、その安全性が自治体によって認められる必要があります。



    ③擁壁を作る・作り直す

    最後に擁壁を作る、あるいは既存の擁壁を作り直す方法です。これは、崖崩れのリスクそのものを物理的に低減するための対策であり、「擁壁(ようへき)」と呼ばれる強固な土留めの壁を斜面に設置するか、既存の擁壁を建築基準法などの基準を満たすものに改修します。基準を満たす擁壁が設置されれば、土砂が崩れ落ちるのを防げるため、自治体の判断によって上記で述べた離隔距離の制限が大幅に緩和されることが多く、崖の近くに建物を建てることが可能になります。ただし、擁壁の設置や改修には、専門的な工事と高額な費用が発生します。



    崖条例の土地に家を建てるための費用目安

    崖条例の制限をクリアするために必要な工事には、一般的な建築費用に加えて、数十万〜数百万円の追加費用がかかる場合があります。主な追加費用として、「擁壁工事」と「地盤改良・基礎補強」の目安を紹介します。



    擁壁工事にかかる費用

    擁壁の設置や改修は、崖条例の制限をクリアする上で最も費用がかかる項目の一つです。費用は主に、擁壁の「高さ」と「長さ」、そして「構造・工法」によって大きく変動します。


    【費用目安】
    ・既存擁壁の調査・診断・申請費用
    数十万円〜
    ・新しい擁壁の設置・改修費用
    →1平方メートルあたり10万円〜30万円程度が目安です。



    地盤改良・基礎補強にかかる費用

    これは崖から十分な距離を確保できない、または擁壁の設置が難しい場合に採用される、建物本体の安全性を高めるための費用です。


    【地盤改良にかかる費用目安】
    一般的な30坪程度の戸建住宅で数十万円~数百万円程度が目安ですが、工法によって費用が大きく変動します。

    【基礎補強・耐圧設計にかかる費用目安】
    一般的な基礎工事に加えて、数百万円〜の追加費用が発生する場合があります。



  • 崖条例の土地を買うメリット・デメリット

    崖条例の土地を買うメリット・デメリット

    崖条例の制限を受ける土地は、建築コストがかかる一方で、魅力的な側面も持っています。購入を検討する際は、メリットとデメリットを比較検討することが重要です。


    メリット

    ■眺望・日当たりがいい
    崖地は傾斜があるため、周囲の建物に遮られにくく、優れた眺望や良好な日当たりが確保できるケースが多くあります。


    ■相場より価格が低い
    建築規制や追加の造成コストがかかることから、周辺の平坦な土地と比較して土地価格が相場より低く設定されています。



    デメリット

    ■造成コストがかかる
    崖条例の制限をクリアするための擁壁工事や地盤改良工事に、数十万円から数百万円の追加費用が発生し、総コストが高くなりがちです。

    ■がけ崩れ・地滑りなど災害リスク
    擁壁などで対策を講じても、土砂災害特別警戒区域などに指定されている場合、一般的な土地より災害のリスクが高い点は否定できません。

    ■将来売却しにくい
    買い手側も造成コストや災害リスクを懸念するため、売却時に買い手がつきにくく、資産価値が下がる可能性があります。

    ■住宅ローン・保険審査に影響することも
    災害リスクが高いと判断される土地では、金融機関によっては融資の審査が厳しくなったり、火災保険・地震保険の保険料が割高になったりする場合があります。



    崖条例対象地の調べ方

    崖条例の制限を受ける可能性がある土地を購入する前に、その土地が具体的にどのような規制の対象になっているのかを必ず調査しておくことが重要です。確認方法は主に下記4つの方法があります。



    役所で確認

    崖条例の具体的な基準や規制内容は、各自治体が独自に定めているため、自治体窓口(建築指導課など)で確認することが最も確実です。その土地が崖条例の「規制対象地」に該当するか、また「がけ条例の具体的な離隔距離の基準」がどのようになっているかを直接確認しましょう。



    重要書類を確認

    土地の売買時に交付される重要書類をチェックすることで、規制の有無や過去の対策状況がわかります。特に、「重要事項説明書」や、過去の擁壁工事に関する「検査済証」、建築許可の「確認済証」などで、既存の擁壁が現在の建築基準法や条例を満たしているかが確認できます。



    ハザードマップで災害リスクを確認

    自治体が公開しているハザードマップを確認し、その土地が土砂災害に関する区域に指定されていないかを調べましょう。土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)などに指定されている場合、崖条例とは別に特に厳しい建築制限が課されるため、災害リスクの有無と合わせて確認が必要です。
    >>国土交通省が公開しているハザードマップはコチラ<<



    不動産会社・設計士へ相談

    崖地での建築経験が豊富な不動産会社や設計士に相談することも一つの方法です。専門家であれば、土地の傾斜状況から規制対象となる可能性を判断できるだけでなく、どのような対策が必要か、その費用目安を含めて具体的なアドバイスを得ることができます。購入前に専門家の意見を聞き、総合的な費用目安を把握しましょう。

  • 購入前に必ず確認! チェックリスト

    購入前に必ず確認! チェックリスト

    崖条例の対象地は、購入後に大きな追加コストや計画変更のリスクを伴うことがあります。契約前に必ず以下の項目を確認し、リスクを把握しましょう。


    ✅崖の高さは2mを超えているか

    多くの自治体で「高さ2m以上+傾斜30度超」が崖条例の規制基準となるため、土地の傾斜部分の高さを測定しましょう。



    ✅崖は自分の敷地内か、隣地か

    崖が隣地の所有物である場合、擁壁の設置・改修に関する費用や交渉が必要になる可能性があります。



    ✅既存の擁壁に「検査済証」はあるか

    検査済証とは、既存の擁壁が法律や条例に適合していることを証明する書類であり、ない場合は改修費用が発生するリスクが高いです。



    ✅ハザードマップに該当しているか

    土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や特別警戒区域(レッドゾーン)に該当しないかを確認し、災害リスクと建築制限の有無を把握しましょう。



    ✅不動産契約前に、建築士による現地調査を行ったか

    専門家による調査で、地盤の状況や擁壁の安全性を正確に判断し、必要な対策と費用を算出してもらいましょう。



    ✅擁壁の所有者・過去の行政指導履歴は確認済みか

    擁壁の維持管理責任が誰にあるか、過去に危険な状態として自治体から指導を受けていないかを確認しましょう。



    ✅既存不適格物件でないか

    既存の擁壁や建物が、建てられた当時の基準は満たしているものの、現在の法規に適合していない「既存不適格物件」でないかを確認します。



    ✅住宅ローン審査・保険加入は可能か


  • まとめ

    まとめ

    今回は崖条例について、その定義、建築制限、そしてクリアするための費用目安を詳しく解説してきました。

    崖条例の対象地は、価格の魅力や眺望がある一方で、不適合な擁壁の改修などで数百万円以上の追加コストが発生する深刻なリスクを伴います。後悔しない家づくりを実現するためには、土地購入前の正確な費用把握と、建築士による現地調査が最も重要なポイントです。

    弊社は、こうした難易度の高い土地の取引と建築計画において豊富な実績を持っており、安全かつ現実的な解決策をご提案可能です。土地探しから費用の試算まで、不安を抱える前にぜひ一度、弊社にご相談ください。

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