抵当権とは?売却の可否から抹消方法までわかる完全ガイド
投稿日:2025年12月04日
不動産を売却しようと思ったとき、「抵当権がついたままでも売却できるのか?」「どのような手続きが必要なのか?」と不安に感じる方は多くいらっしゃいます。
住宅ローンを利用したほとんどの物件には抵当権が設定されていますが、適切な手順を踏めば抵当権付き物件でも売却は可能です。
この記事では、抵当権の基本から売却の3つの方法、そして具体的な抹消手続きまで詳しく解説します。
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抵当権とは
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抵当権とは、住宅ローンなどの返済が滞った場合に、金融機関がその不動産を競売にかけて債権を回収できる権利を指します。
ローンを組む際に物件を担保として差し出す形式で、多くの住宅ローンで設定されます。
抵当権が行使されるとどうなる?
返済遅延が続き、抵当権が行使されると、不動産は差し押さえられます。その後、金融機関は債権回収のために競売を申し立てます。
競売になると市場価格より低い価格で売却されることが多く、売却後もローンが残ってしまう場合もあります。そのため、売主にとっては不利な結果となることがほとんどです。
返済が難しい場合には競売前に「任意売却」という方法で売却し、できる限り高い金額で売却を目指すケースが一般的です。(詳しくは後述)
根抵当権との違い
抵当権が「特定の借入金」を担保するのに対し、根抵当権は「一定の範囲の借入金」をまとめて担保できる仕組みです。
・抵当権:住宅ローンなど特定の借入に対して設定
・根抵当権:事業資金など複数の借入や増減する借入金を担保できる
個人の住宅ローンの場合は抵当権、法人や事業者が借入を行う場合は根抵当権が選ばれることが多いです。
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抵当権付き物件を売却する3つの方法
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結論として、抵当権付き物件でも売却することは可能です。
売却のタイミングまでに抵当権を抹消できることが条件となります。
ここでは、一般的な3つの売却方法を紹介します。
① 売却と同時に抵当権を抹消する(最も多いケース)
もっとも一般的なのが、売却代金でローンを完済し、その日のうちに抵当権を抹消する方法です。
売却の決済日には、買主から支払われる代金がそのまま金融機関へ送金され、ローン残高が完済されます。完済と同時に金融機関から抵当権の解除書類が発行され、司法書士がその場で法務局へ抹消登記を申請します。この方法であれば、売主が事前にまとまった資金を用意する必要はなく、売却と抵当権抹消を一度に完了できるため、最も現実的でスムーズな進め方といえます。
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② ローンを完済してから抵当権を抹消し、その後売却する
預貯金などで完済できる場合は、先にローンを全額返済し、抵当権を外してから売却に出す方法があります。
・抵当権がない状態で販売できるため印象が良い
・購入希望者のローン審査が通りやすくなる場合がある
・住宅ローン残債の心配をせず売却活動ができる
ただし、手元資金に余裕がある方向けの方法です。
③ 任意売却を利用する(完済できない場合)
売却代金でローンを完済できないことが事前に分かっている場合は、金融機関と協議の上「任意売却」を選択することができます。
任意売却のメリットとしては、
・競売よりも高く売れる可能性がある
・売却後の残債について金融機関と調整できる
・競売のように急な退去を迫られない
などが挙げられます。
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抵当権抹消の具体的な手続きと費用
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抵当権の抹消は、一般的に「売却と同時」に行われます。
売却代金の入金と同時にローンが完済され、その場で抵当権抹消に必要な書類が金融機関から発行されます。
実際の手続きはすべて司法書士が進めるため、売主が複雑な手続きを行う必要はありません。
抵当権抹消にかかる費用
抹消に必要な費用は主に以下の3つです。
1. 登録免許税
抵当権を抹消する際に法務局へ納める税金。
不動産1件につき1,000円が基本です。
(例)
土地1筆 + 建物1戸 → 合計2,000円
2. 司法書士への報酬
抹消登記の申請を代行してもらう費用です。
5,000円〜20,000円前後が一般的です。
3. その他諸費用
郵送費・書類取得費などが数百円〜数千円ほどかかることがあります。
登記上の住所と現在の住所が異なる場合は、抵当権抹消の前に、住所変更登記が必要となります。別途、登録免許税+司法書士報酬がかかります。
抹消手続きの具体的ステップ
実際の抵当権抹消は以下の流れで進みます。
1. 売買契約後、決済日に金融機関へ完済金を支払う
2. 金融機関が抵当権解除書類を発行
3. 司法書士が法務局へ抵当権抹消登記を申請
4. 1〜2週間ほどで抵当権抹消が完了
司法書士がすべて代行するため、売主の負担はほとんどありません。
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相続した家に抵当権がついていたら?
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相続した不動産に抵当権がついているケースもあります。
元記事の内容を踏まえつつ、ポイントを整理して解説します。
「団信(団体信用生命保険)」の加入状況をチェック
被相続人が住宅ローン返済中に亡くなった場合、団信に加入していればローン残高が保険金で完済されている可能性があります。完済されていれば抵当権も抹消できます。また、相続した物件を売却するには「相続登記 → 抵当権抹消登記」の順で手続きが必要です。
相続した不動産の抵当権を抹消する場合
団信適用がなくローンが残っている場合は、相続人が返済を続けるか、売却で完済する必要があります。
抵当権付き不動産も相続税の対象になる
抵当権がついていても、不動産自体は相続税の対象です。
ただし、ローン残債は「※債務控除」が可能なため、課税価格は減額されます。
※債務控除とは相続税を計算する際に、故人(被相続人)の遺産総額から借入金や未払金などの「マイナスの財産」を差し引く(控除する)仕組みです。
相続放棄という選択肢も
ローン残債が多く、物件を引き継ぐメリットが少ない場合には相続放棄も検討できます。
相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要で、期限も相続の開始があってから3カ月以内と定められているため早めの判断が大切です。
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まとめ
抵当権がついている不動産でも、適切な手続きを踏めば問題なく売却できます。もっとも一般的なのは、売却と同時にローンを完済して抵当権を抹消する方法ですが、状況によっては完済後の売却や任意売却といった選択肢もあります。また、相続した物件でも団信の有無や残債状況によって対応が変わるため、まずは現状を正しく把握することが重要です。
抵当権の仕組みや手続きは複雑に見えますが、専門家と一緒に進めることでスムーズに売却することができます。「自身のケースではどう進めるべき?」と迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。お客様の状況に合わせて、最適な売却方法をご提案させていただきます。