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投稿日:2021年04月28日
近年話題に取り上げられている空き家問題。
皆さんの周りにも相続などにより家を所有したものの誰も住む人がおらず、適切な管理もできないまま放置してしまっている空き家はないでしょうか。
以前は「固定資産税の住宅用地特例措置」により、住宅用地は固定資産税が減額されるため、相続された家に対して誰も住む人がいなくても解体せずに空き家のままにする人が多かったです。
しかしながら管理されていない空き家が増えたことにより、衛生面や防犯面など各地域に多くの問題を引き起こす要因となりました。
※固定資産税の住宅用地特例措置・・・住宅用地に対する固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額される措置
人が住まなくなった家は、急速に老朽化が進みます。
空き家になると、通気や通水がされなくなり、メンテナンスも行き届かなくなるため、湿気や腐食が原因で建物の傷みが加速します。
長期間放置された家では、屋根瓦や壁の崩落、建物の倒壊といった危険性も高まり、周囲にとっても大きなリスクとなります。
また、空き家となる建物の多くは築年数が古く、現行の耐震基準を満たしていないケースも多いため、大きな地震の際には倒壊の恐れがあり注意が必要です。
旧耐震基準 | 新耐震基準 | |
適用期間 | 1981年5月31日まで | 1981年6月1日から現在まで |
構造基準 | 震度5強程度の地震まで耐久 | 震度6強~7程度の地震まで耐久 |
空き家を放置すると、不法侵入や盗難、放火、不法投棄といった犯罪リスクが高まる可能性があります。誰も住んでいないことが一目で分かる状態では、犯罪を企む者に狙われやすく、隠れ家として無断で使用されたり、トラブルの温床となる恐れがあります。こうした事態が発生した場合、所有者として管理責任や損害賠償を問われるケースもあるため注意が必要です。
たとえ使用していなくても、定期的に現地を訪れ、庭の草刈りやポストの確認などを行い、外見から空き家と判断されないように管理を心がけましょう。
空き家を放置することで、害獣・害虫の発生や悪臭などの深刻な環境問題が起きやすくなります。
隙間から侵入した害獣や害虫が家の中に巣を作り、糞尿や死骸が堆積することで衛生面に大きな悪影響を及ぼすだけでなく、それらを餌とするさらに大型の動物を呼び寄せることもあります。また、害虫・害獣が近隣にも被害を及ぼすと、駆除費用を巡って近隣住民とトラブルに発展するケースもあるため注意が必要です。
さらに、庭に枯れ葉やごみがたまることで悪臭が発生し、近隣住民の生活環境を悪化させる恐れもあります。カビやダニによる健康被害や、臭いによるストレスなど、身体にも精神にも悪影響を及ぼす可能性があります。
管理されていない空き家は、不法投棄や環境汚染の温床となり、周辺住民とのトラブルや地域の美観・安全性の低下につながります。その結果、地域全体の資産価値が下がり、住宅市場や経済の停滞を引き起こす恐れもあります。
また、空き家の多い地域は「管理されていない地域」という印象を与え、地域ブランドや防犯・防災面の不安を増幅させてしまいます。近年空き家問題は個人だけの問題ではなく、地域全体で考えるべき社会課題となっています。
老朽化が進んで柱や梁が腐食し、建物全体が傾いている状態や、屋根瓦が剥がれ落ちそうになっている状態などが該当します。台風や地震などの自然災害が発生した場合、周囲に瓦礫が飛散し、通行人や隣接する建物に危害を及ぼす恐れがあるため、非常に危険と判断されます。
長期間放置された空き家に、ネズミ・ハクビシン・アライグマなどの害獣やゴキブリ・ハエといった害虫が大量発生している状態。糞尿による悪臭や、感染症のリスクも高まり、近隣住民の健康被害につながる恐れがあるため、衛生面での重大な問題とされます。
雑草が伸び放題で庭が荒れ果てている、外壁が剥がれ落ちている、窓ガラスが割れたまま放置されているといった外観の劣化が著しい状態は、周囲の街並みに悪影響を及ぼします。特に住宅地や観光地では、地域のイメージダウンにもつながります。
ポストにチラシや郵便物が溜まり、空き巣や不法投棄のターゲットとなるケースや、空き家の周辺がゴミの不法集積所になっている場合などが該当します。犯罪リスクの増加や地域住民の生活環境悪化を引き起こすため、早急な対応が求められます。
①助言➡②指導➡③勧告➡➃命令➡⑤行政代執行
最初の段階では、市区町村が所有者に対して 空き家の管理に関する助言 を行います。
この段階ではまだ「指導」ではなく、あくまでも改善の促しや注意喚起のレベルで、「定期的な草刈りを行ってください」「建物の破損部分の修繕をご検討ください」など、所有者自身の判断で対応が可能な段階です。
助言を無視または改善が見られない場合、「指導」 に移ります。
この段階では、空き家等対策特別措置法に基づく文書による正式な管理改善の指導が入ります。具体的な改善内容が伝えられ、いつまでにどのように改善するかの回答が求められます。
指導を受けても改善が見られない場合は、行政が 「特定空家等」 に正式に指定し、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1の減税)を解除 したうえで「勧告」を出します。これにより税額が一気に上がるため、所有者には実質的な負担がかかるようになります。
勧告後もなお改善がなされない場合、市区町村は所有者に対して 「命令」 を出します。
これは法的拘束力を持つ行政命令であり、従わなかった場合には 50万円以下の過料が科される可能性があり、強制力が一段階強くなります。
最終段階として、命令にも従わなかった場合、行政代執行が適用され強制的に建物が取り壊されます。この解体にかかる費用は所有者に請求され、未払いの場合には所有している不動産や車が差し押さえられて、売りに出されてしまう場合もあります。
●定期的な巡回・清掃・修繕をする
空き家であっても、定期的に家の状態をチェックすることは非常に重要です。
通気や通水を行うことでカビや劣化を防ぎ、害虫・害獣の侵入も抑えられます。
また、草木の手入れやポストの確認を通じて「空き家だと気づかれにくくする」ことも、防犯の面で効果的です。
ちょっとした修繕を怠ると後に大きな修復費用につながることもあるため、継続的な管理を心掛けましょう。
●管理会社へ委託する
遠方に住んでいる、または定期的に管理しに行けないという方には、空き家の管理を専門業者へ委託するのがおすすめです。
巡回・清掃・報告などを定期的に行ってくれるため、手間をかけずに安全かつ衛生的な管理が可能になります。
近隣からの苦情やトラブルを未然に防ぐ意味でも、プロの目で家を管理してもらうことは大きな安心につながります。
●空き家を解体して更地にする
老朽化が進み、修繕費用が高額になる場合は、空き家を解体して更地にすることも有効な選択肢の一つです。
更地にすることで管理の手間が減るだけでなく、建物倒壊や火災のリスクを防ぐことができます。また、更地にすることで、駐車場やコインパーキング、家庭菜園、売却準備地などとしての活用も可能になり、新たな収益や地域貢献につながるケースもあります。
ただし、固定資産税が上がる場合があるため、費用面のシミュレーションを事前に行うことが大切です。
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●管理が難しいなら売却も視野に
空き家の管理には、定期的な見回り・清掃・修繕などの時間的・経済的負担が伴います。遠方に住んでいたり、他にも不動産を所有していたりする場合は、空き家の維持が大きな負担やコストとなることも少なくありません。
こうした背景から、「使う予定のない空き家は思い切って売却する」というのも、非常に有効な選択肢のひとつです。
売却を検討することで、得られるメリットを下記にまとめてみました。
①管理の手間やコストがかからない
②固定資産税などの維持費・管理費を削減できる
③空き家を原因とする事故やトラブルのリスクを回避できる
相続した空き家を売却する際、一定の条件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円までを控除できる特例があります。例えば空き家を売却した利益が3,000万円以下なら、譲渡所得税がかからないということになります。
これが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」と呼ばれる制度です。
この特例を活用することで、売却益に対する税負担を大きく軽減できるため、相続した空き家を売却する際に非常に重要なポイントとなる制度です。
相続財産を譲渡する場合、本来は「相続税の一部を取得費に加算できる特例(取得費加算の特例)」がありますが、この特別控除(3,000万円控除)と同時に使うことはできません。どちらを選ぶかは場合によって変わってきますが、多くの場合は3,000万円控除のほうが節税効果が大きくなることが多いです。
取得費加算の特例とは、相続した不動産などを売却する際に、相続税の一部を「取得費」に加算できる制度です。通常、不動産などを売却したときの譲渡所得は【譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)】で計算されます。
ここにある「取得費」とは、その不動産を購入した時の金額を指しますが、相続した場合はその購入価格が不明だったり、かなり古い金額であることが多く、譲渡所得が高額になりやすいです。
そこでこの特例を使用すれば相続時に支払った相続税の一部を取得費に加算できるため、結果的に譲渡所得を圧縮できます。
この特例は、建物付きで売却するか、相続後に建物を取り壊して土地を売却するという場合のみに適用されます。つまり、もともと建物がない更地を相続して売却しても、この特例は適用できません。また、建物を壊す場合も、壊してから売却するまでにきちんと要件を満たす必要があるので注意が必要です。
空き家を複数人で相続した場合(例:兄弟姉妹で半分ずつ)、それぞれの持分割合に応じて控除を適用することができます。つまり全体で3,000万円ではなく、各自の持分に対しての3,000万円控除となるため、自分の持分が1/2の場合は、「譲渡益から1,500万円まで控除できる」という計算になります。
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