
投稿日:2020年02月06日
突然ですが、「建物状況調査」という言葉をご存じでしょうか。
中古住宅を売却する際、事前に建物状況調査を実施しておくことで、建物の状態を買主へ正しく伝えられ、売買をスムーズに進めやすくなります。また、売却後のトラブル防止にもつながるため、近年では注目されている調査の一つです。
本コラムでは、建物状況調査とはどのような調査なのか、売却前に実施するメリットや調査の流れ、依頼する際の注意点について分かりやすく解説します。
売却をご検討中の方はぜひ参考にしてみてください♪
中古住宅を購入・売却する際によく耳にする「建物状況調査」と「ホームインスペクション」。
似た言葉として使われることもありますが、実は目的や位置づけに違いがあります。まずはそれぞれの特徴をまとめました。
主に中古住宅の売買時に実施され、建物の劣化や不具合の有無を確認し、売主・買主の双方が安心して取引できるようサポートする役割があります。
既存住宅の基礎・構造・外壁などに生じている劣化・不具合の状況を国土交通省に認定されたプロの検査員が、目視・計測によって調査するものです。
中古住宅は一棟ごとに築年数やメンテナンス状況が異なるため、見た目だけでは建物の状態を判断することはできません。建物状況調査を行うことで、売主・買主の双方が建物の状態を正しく把握したうえで、安心して取引を進められるようになります。
「ホームインスペクション」と「建物状況調査」は同じ意味で使われることもありますが、厳密には次のような違いがあります。
| 建物状況調査 | ホームインスペクション |
|---|---|
| 国土交通省の基準に沿って実施 | 民間会社が独自の基準で実施することもある |
| 主に中古住宅の売買時に利用 | 購入前・リフォーム前・維持管理など幅広い目的で利用 |
| 宅建業法に基づく説明の対象 | 法律上の位置付けはない |
| 既存住宅かし保険の利用につながる場合がある | 調査内容によって異なる |
近年、建物状況調査の重要性は高まっています。その背景には、平成30年(2018年)の【宅地建物取引業法の改正】があります。
この改正により、不動産会社は中古住宅の売買を仲介する際に、建物状況調査の「あっせんの有無」について売主・買主へ説明することが義務付けられました。
つまり、「建物状況調査」という制度を知ったうえで、実施するかどうかを判断できる仕組みになったということです。
宅建業法改正での変更点
・(改正前)建物状況調査について説明されないケースもあった
⇓
(改正後)建物状況調査のあっせんの有無について説明が義務化
・(改正前)建物の状態が分からないまま契約することもあった
⇓
(改正後)建物の状態を確認したうえで売買を進めやすくなった
・(改正前)売却後・購入後のトラブルにつながるケースも
⇓
(改正後)トラブル防止や安心して取引できる環境づくりが進んだ
中古住宅は、一つひとつ建物の状態が異なります。そのため、売主・買主の双方が建物の状態を事前に把握しておくことが、安心して取引を進めるための大切なポイントです。
建物状況調査を実施することで、建物の状態を客観的に確認できるため、契約後の認識の違いやトラブルの防止につながります。
宅建業法の改正によって建物状況調査の実施が義務になったわけではありません。
あくまでも、不動産会社が建物状況調査の「あっせんの有無」を説明することが義務付けられています。
建物状況調査は、一般的に以下の流れで進みます。
以下の流れに沿って検査が行われます。
①現地調査
既存住宅状況調査技術者が現地を訪問し、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に沿って建物の状態を調査します。
調査は主に目視で行われ、住宅の劣化状況や不具合の有無を確認します。
②検査報告
調査後は、建物の状態をまとめた検査報告書が作成されます。
報告書には、チェック結果や現場写真などが分かりやすくまとめられており、建物の状態を客観的に確認できます。
また、売却時には買主への説明資料として活用できるため、安心して取引を進めるための資料としても役立ちます。
③既存住宅かし保険の利用
建物状況調査の結果、一定の基準を満たした住宅は、既存住宅売買瑕疵保険(かし保険)を利用できる場合があります。
万が一、引渡し後に対象となる不具合が見つかった際の補償につながるため、売主・買主双方にとって安心材料の一つとなります。
建物状況調査の費用は、建物の種類や広さ、調査内容、オプションの有無によって異なります。
一般的な費用相場は5万円~10万円程度ですが、床下や小屋裏への進入調査、設備検査などのオプションを追加する場合は、10万円以上になることもあります。
また、調査費用は原則として調査を依頼した方(売主または買主)が負担します。ただし、不動産会社によってはサービスの一環として費用を負担するケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
| 費用が変わる主なポイント | 内容 |
|---|---|
| 建物の種類 | 戸建住宅・マンションなど |
| 建物の規模 | 延床面積や階数が大きいほど費用が高くなる傾向 |
| 調査内容 | 基本調査のみか、オプションを追加するか |
| 調査会社 | 料金体系や報告書の内容によって異なる |
建物状況調査では、住宅の安全性に関わる「構造耐力上主要な部分」と、雨漏りにつながる「雨水の浸入を防止する部分」を中心に調査します。
調査は国土交通省の基準に沿って行われ、目視や計測によって建物の劣化や不具合の有無を確認します。
| 検査箇所 | 主なチェック内容 |
|---|---|
| 基礎 | ひび割れや不同沈下など、建物を支える基礎部分に異常がないか |
| 外壁 | ひび割れやコーキングの劣化、タイルの浮き・剥がれがないか |
| 屋根 | 破損やズレ、雨漏りにつながる劣化がないか |
| 柱・梁・土台 | 構造部分の劣化や傾き、損傷がないか |
| 床・壁 | 傾きや大きな変形がないか |
| バルコニー | 防水層の劣化やひび割れ、水が浸入する恐れがないか |
| 小屋裏・床下 | 雨漏り跡やシロアリ被害、木材の腐食、漏水などがないか |
| 開口部(窓・サッシなど) | 雨水が浸入するような著しい劣化や隙間がないか |
建物状況調査では、建物の状態を「目視で確認できる範囲」で調査します。そのため、壁の内部や地中など見えない部分は原則として調査対象外となります。
建物状況調査は、建物の状態を客観的に確認できるため、売主・買主の双方にメリットがあります。
特に中古住宅は、一棟ごとに築年数やメンテナンス状況が異なるため、事前に建物の状態を把握することで、安心して取引を進めやすくなります。ここでは、買主・売主双方から見たメリット・デメリットをまとめました。
建築士による調査で建物の状態を事前に確認できるため、購入後の不安を軽減できます。
修繕が必要な箇所や今後のメンテナンス時期の目安が分かるため、資金計画を立てやすくなります。
建物の状態について、専門家の視点から説明やアドバイスを受けることができます。
一定の条件を満たす場合、住宅ローン減税や既存住宅かし保険の利用につながることがあります。
事前に建物の状態を確認し、買主へ説明できるため、引渡し後の認識の違いやトラブルを防ぎやすくなります。
建物状況調査を実施した住宅は、買主に安心感を与えやすく、競合物件との差別化につながります。
建物の状態が明確になることで、購入の判断材料となり、早期売却につながる可能性があります。
建物状況調査には多くのメリットがありますが、事前に知っておきたいポイントもあります。
調査内容によって異なりますが、一般的には5万円~10万円程度の費用がかかります。
調査によって劣化や不具合が見つかった場合、補修や価格調整が必要になることがあります。
建物状況調査は、目視できる範囲を中心に行うため、壁の内部や地中など見えない部分までは確認できません。
建物状況調査は、「不具合を探すため」だけではなく、建物の状態を売主・買主双方で共有し、安心して取引を進めるための調査です。
建物状況調査は、どの調査会社に依頼しても同じ結果になるわけではありません。調査内容や報告書の充実度によって、その後の売買やリフォーム計画にも影響するため、依頼前に以下の3つのポイントを確認しておきましょう。
建物状況調査は、不動産会社から紹介(あっせん)を受けて依頼するケースも少なくありません。しかし、紹介されたからといって、そのまま依頼を決めるのではなく、どの調査会社が調査を行うのかを確認することが大切です。
調査を担当するのは、既存住宅状況調査技術者の資格を持つ建築士ですが、調査実績や報告書の内容、対応できる調査範囲は会社によって異なります。
安心して依頼するためにも、調査内容や実績について事前に確認し、必要に応じて複数の調査会社を比較検討するとよいでしょう。
建物状況調査では、調査そのものだけでなく、調査後に作成される検査報告書の内容も重要です。
報告書は、建物の状態を買主へ説明する際の資料として活用できるだけでなく、購入後のリフォームやメンテナンスを計画する際にも役立ちます。そのため、写真付きで分かりやすくまとめられているか、不具合の内容や調査結果が具体的に記載されているかなどを確認しておくことをおすすめします。
費用だけで調査会社を選ぶのではなく、報告書の分かりやすさや内容の充実度にも注目することが大切です。
建物状況調査は、調査の実施だけでなく報告書の作成にも時間がかかります。
売却活動を始めてから慌てて依頼すると、内覧や契約のスケジュールに間に合わないこともあります。特に売主の場合は、販売開始前に調査を済ませておくことで、検査結果を購入希望者へ提示でき、スムーズな売却につながります。
建物状況調査を行うことで、建物の状態を事前に把握できるため、売主様・買主様の双方が安心して取引を進めやすくなります。また、建物の状態を明確にしておくことで、売却後のトラブル防止やスムーズな売却にもつながります。
建物状況調査を実施しなくても中古住宅を売却することは可能ですが、買主様から調査を希望された場合は、契約までに時間がかかるケースもあります。そのため、売却を検討し始めたタイミングで事前に実施しておくことがおすすめです。
「建物状況調査を受けた方がいいの?」「費用はどれくらいかかる?」など、ご不明な点がございましたらお客様の状況に合わせて、最適な売却方法をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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