
投稿日:2026年02月21日
最終更新日:2026年02月15日
「うちの家って、いまいくらの価値があるんだろう?」
売却を考え始めたとき、多くの方が気になるのは価格です。しかし実は、家の価格は「土地」と「建物」で分けて考えられていることをご存じでしょうか。
建物には、年数の経過とともに価値が減っていくという減価償却という仕組みがあります。この考え方を使えば、ご自宅の「会計上の建物価値(残り価値)」を計算することが可能です。
ただし、ここで大切なのは、減価償却で分かる価値と、実際に市場で売れる価格は必ずしも一致しないということ。
本記事では、減価償却の基本から計算方法、住まいの種類別シミュレーション、そして売却で後悔しないために知っておきたいポイントまでを分かりやすく解説します。
まずは、「我が家の建物価値」を正しく知るところから始めてみましょう。
建物の「今の価値(帳簿上の残り価値)」を知るには、いくつかの情報が必要です。
・建物購入価額
・経過年数(築年数)
・償却率(=耐用年数から算出)
これらをもとに、減価償却の計算を行います。
■基本の計算式
減価償却費(定額法)の計算式は、次の通りです。
建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
※「0.9」は、取得価額の90%を償却対象とする考え方に基づくものです。
そして、この計算で求めた「原価償却累計額」を購入価額から差し引くことで、現在の帳簿価額を算出します。
建物購入価額 − 減価償却累計額 = 現在の帳簿価額(残り価値)
つまり、「いくらで買ったか」だけでなく、何年経っているか・どんな構造かが大きく影響します。
① 建物購入価額
減価償却の対象になるのは、建物部分の価格のみです。
不動産は「土地」と「建物」に分けて考えますが、土地は時間が経っても基本的に減価償却しません。
そのため、売買契約書や重要事項説明書に記載されている建物価格の部分だけを使って計算します。
例えば、
・総額3,000万円
・土地1,200万円
・建物1,800万円
の場合、計算対象は「1,800万円」となります。
② 経過年数
次に重要なのが、建物を取得してからの経過年数です。
新築で購入した場合は築年数とほぼ同じですが、中古住宅を取得した場合は、耐用年数の計算が少し異なります。
築年数が長いほど、減価償却累計額は増え、帳簿上の残り価値は小さくなります。
③ 償却率
償却率は、建物の構造によって定められた「耐用年数」から算出されます。
基本的な考え方は、
償却率 = 1 ÷ 耐用年数(定額法)
例えば、
・木造(耐用年数22年) → 約0.045
・RC造(耐用年数47年) → 約0.021
となります。
つまり、耐用年数が長い建物ほど、1年あたりの価値の減少はゆるやかになります。
定額法とは?
定額法とは、毎年同じ金額ずつ価値を減らしていく方法です。
例えば、年間80万円ずつ減価償却すると決まれば、1年目も2年目も3年目も、同じ80万円が差し引かれていきます。
そのため、
・計算がシンプル
・将来の見通しが立てやすい
という特徴があります。
現在の住宅売却における計算は、基本的にこの「定額法」を前提に考えます。
定率法とは?
定率法は、最初の年に大きく価値が減り、年々減少額が小さくなる方法です。
つまり、
・初年度の償却額が大きい
・年を追うごとに減少額が小さくなる
という特徴があります。
主に事業用資産などで使われることがあり、居住用の売却シミュレーションではあまり用いられません。
ここでは、実際に数字を使って建物の残り価値を計算してみましょう。
■ 前提条件
・建物価格:2,000万円
・築15年(新築で取得した建物)
・減価償却方法:定額法
① 木造戸建の場合(耐用年数22年)
木造住宅の法定耐用年数は22年です。
償却率は、
1 ÷ 22 = 約0.045
年間の減価償却額は、
2,000万円 × 0.9 × 0.045
= 約81万円
15年間の減価償却累計額は、
約81万円 × 15年 = 約1,215万円
したがって、帳簿上の残り価値は、
2,000万円 − 1,215万円 = 約785万円
となります。
築15年の木造戸建では、会計上は約800万円弱の価値が残る計算です。
② RCマンションの場合(耐用年数47年)
鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年です。
償却率は、
1 ÷ 47 = 約0.021
年間の減価償却額は、
2,000万円 × 0.9 × 0.021
= 約37万円
15年間の累計は、
約37万円 × 15年 = 約555万円
残り価値は、
2,000万円 − 555万円 = 約1,445万円
同じ築15年でも、RC造は価値の減少が緩やかなため、
帳簿上の残り価値は大きくなります。
③ 事業用不動産の場合
事業用物件も基本的な考え方は同じですが、
減価償却は「節税」と密接に関わります。
売却時には、
・減価償却の累計額
・簿価との差額
・譲渡所得税
が大きく影響します。
そのため、事業用の場合はより慎重なシミュレーションが必要です。
減価償却の計算をすると、
「もう価値がほとんど残っていない…」「耐用年数が過ぎたらゼロになるの?」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、帳簿上の価値が小さくなったからといって、売却できないわけではありません。
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